■#最終回 東洋の寓話 全て忘れて夢中になる ハチミツの正体

田中「最近風邪気味でさ〜喉が痛いんだよね」

望月「季節の変わり目だしな〜」

山下「そんな田中の為にハチミツ生姜作ってきたぜ!」

田中「ほんと?!ありがとう山下!」

ペロッ

田中「ふああぁぁぁ!!うまい!!もっとくれもっとくれ〜!!」

さてさて寓話も最終局面。

連載11回目「ハチミツ」についてです。


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前回までのあらすじ
断崖絶壁に追い込まれた旅人は
猛虎から逃れるため
目の前の松の木から垂れる1本の藤ヅルにすがりついた。
九死に一生を得たが、2匹のネズミがツルを噛み続ける。
そして下には3匹の毒竜が待ち構えている。
こんな状況で当の旅人はというと…

ハチミツをなめることに夢中になった旅人は、

自分の置かれている恐ろしい状況を、すっかり忘れてしまった

旅人は、絶体絶命の危機に瀕していながら、なぜ笑っているのか。

「ハチミツ」とは、「夢中になっている」とはどういうことなのか。

順番に見ていこう。

ハチミツの虜になった旅人

旅人が、白と黒のネズミを振り払おうと、藤ヅルを懸命に揺さぶった。

すると藤ヅルの元にあったミツバチの巣から、ハチミツが滴り落ちてきた。

甘い香りに誘われ、指についてハチミツをペロリ。

飢餓状態にあった全身がハチミツの甘さにしびれた。

「もっとなめたい」

ネズミを追い払う目的も忘れて、今度はハチミツをなめるために、必死で藤ヅルを揺さぶり始めた。

旅人は、虎も、深い海も、3匹の毒竜も、白と黒のネズミも、みんな忘れて

頭の中にあるのは、ただ、「どうすればハチミツをもっとなめられるか」だけになった。

ハチミツとは

ハチミツとは、五欲を満たす楽しみのこと。

五欲とは、食欲、財欲、色欲、名誉欲、睡眠欲のことだよ

五欲 貪欲 瞋恚 愚痴
ケモノガタリ マンガ記事23話より

欲っていうのは、俺たちに強烈な刺激と快楽を与えてくれるもの

それらを満たして、ドーパミンが体中に流れることで幸せを感じるように人間は作られている。

そりゃあ、虜になっちゃうよね…。

1日五欲劇場

ハチミツのことしか考えていない」というのは、五欲を満たすことしか考えていないってこと。

「そんなことねぇよ。真面目に考えてる時もあるわ」って人のために

試しに、山下の普段の生活を朝から夜まで順番に、五欲をつかって説明してみるね。

なんでだよ!

7:00「もっと寝ていたいわぁ」(睡眠欲)

7:30「即席みそ汁最強。安・旨・早の三拍子じゃん。」(食欲、財欲、睡眠欲)

9:00「授業だりぃ。でも単位あるし仕方ねぇか。」(財欲、名誉欲)

9:10「やっぱ無理・・・グーグー」(睡眠欲)

13:00「オンラインがいいよな!出欠のときだけカメラONにすりゃいいし」(睡眠欲)

16:00「今からマルティーナとデート〜何着よっかな♪」(名誉欲、色欲)

18:00-22:00「マルティーナの誕生日は盛大に祝いたいし、バイトバイト♪」(財欲、名誉欲、色欲)

22:30「お!ラッキー!割引惣菜ゲット!」(財欲、睡眠欲)

23:00「やっぱ働いたあとの飯は最高だな!」(食欲)

24:30「おつかれ、自分!ブックマークしてた動画みよ〜っと・・・グーグー」(睡眠欲)

まぁこんな感じで、朝から晩まで5つの欲を満たすことばかり考えている

余計なお世話だよ!

おかしなこと

想像してみて欲しいんだ。

飛行機が墜落しようとしているのに、機内食や映画が楽しめると思う?

のんきに友達と会話なんかしていられる?

普通に考えたら恐怖で気が狂っている人も出てきそうだよね。

でも俺たちは、五欲を満たせば幸せになれるってカンカンに信じている

墜落確定の飛行機に乗っていても楽しいことばかりを考えている。

おかしなことだよね。

もちろん五欲があるからこそ、進歩発展してきたのは事実だよ。

でも、食欲・財欲・色欲・名誉欲・睡眠欲の五欲を満たすよろこびに振り回されているうちに

頼りにしている藤ヅルがブチッと切れるときがやってくるんだ。

すべての人に一大事がある

藤ヅルが切れたら、真っ暗な深海に落ちていかなければならない。

これを仏教の言葉で「生死の一大事」というんだ。

一大事とは「放置できない重大な出来事」のこと。

重大な出来事とは、一息切れた後、死後はもっと苦しい世界へ飛び込まねばならないと釈迦は教えているんだ。

この問題を解決しない限り、どれだけ五欲を満たしても、本当の安心、満足はない

すべての人に「生死の一大事」のあることを教えるために釈迦が説いたのが、このたとえ話なんだ。

まとめ

ここまで話してきて思うのは、俺たちは鈍感頑固者ってこと。

たとえ話をしないとわからない。

いや、たとえ話を聞いても「だからなに?」って思ってる

我ながら滑稽だと思うよ。

俺は、山下・田中・鈴木さんと話してから、哲学がどういうものかようやくわかった気がするんだ。

哲学とは、自分とは何かを知ることだって。

居酒屋で話せなかった「自分とは」っていう視点で、話を進めていったよ。

俺もそろそろ次のステップに進まないとな…。

今回の話が皆の人生のヒントになると嬉しいよ。

じゃあ、また、元気でね。

ケモノガタリ
ケモノ達の語りはつづく

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